前回は「メーカー製PCとBTOパソコンと自作PCの違い」というものを紹介しました。
今回は自作PCの組み方の前に、ではパソコンは何で構成されているのかを解説したいです。
PCパーツの選別についてはまた違うページで紹介します。
基本的なPCというものが何で構成されているのかというと、
「CPU」「マザーボード」「メモリ」「電源」「PCケース」「ストレージ」「光学ドライブ」「グラフィックスカード/ビデオカード/VGA」「冷却パーツ」で構成されています。
グラフィックスカードに関してはマザーボードにグラフィックス機能が搭載している場合は省略できたりしますが、
今回は一応紹介させていただきます。
他にも利用する人によっては必要なものがあったりしますが、それは個別の項目で紹介します。
CPU
私がパソコンの中で一番重要だと思っているのがこの「CPU」です。
CPUとは”Central Processing Unit”の略で、中央処理装置または中央演算処理装置のことです。
字の通り、コンピュータにおける中心的な処理装置として働く装置のことです。
人間にたとえると頭脳にあたると思っています。
このCPUの性能によってパソコンの性能が変わると言っても過言でもありません!
現在一般のユーザーが購入できるCPUを販売しているのはIntelとAMDのみです。
実物はこんな感じです。
写真のものはIntel製のCPUです。
世代や種類によって大きさが違います。
まあ大きいものでも1辺が5cmくらいだと思います。
では、CPUの性能の善し悪しをどう判断するのかについてですが、以下のような基準があります。
クロック周波数
スペックが記載されているところにある”GHz”もしくは”MHz”と表示されている数字のことです。
クロック周波数とは数字が大きいほど速い・性能がいいというものです。
簡単に言うと秒速のことで、1秒間に何回処理ができるのかというのを表すものだと思ってもらって構わないと思います。
つまり1秒間に処理できる回数が大きければ大きいほど、性能が良いということですね。
ベースクロック
FSB(Front Side Bus)とも言われていました。
CPUとメモリや拡張カードとのデータのやり取りをするスピードの事です。
なのでこのFSBが高いほど、CPUとそれ以外のデータのやり取りが速くなるので、性能が良くなります。
マザーボードには対応FSBというのがあって、対応していないFSBのCPUを付けても動きません。
ただ、現在は「FSB」というものは使われていません。
なぜかと言うと、現在のCPUは「メモリコントローラ」というのを統合しているからです。
現在は「QPI」や「DMI」が使われています。※AMDでは「HyperTransport」
意味としてはFSBと同じですが、FSBの時のように、ベースクロックを合わせる必要がなくなるので、気にしなくていいです。
CPUのクロックは「ベースクロック×倍率」で成り立っています。
※4770Kの場合は「100MHz×35」で3.5GHz(3500MHz)のように。
コア数/スレッド数
コアとは1つのCPU内にあるプロセッサコアのことです。
1つコアを搭載している状態をシングルコア、2つ以上搭載している状態をマルチコアと言います。
昔はシングルコアのCPUしかなかったと思いますが、処理が重い作業が増えてきて、
それに対応するためにクロック周波数を上げていったのですが、それに伴い消費電力や発熱量が増加していく問題があり、
クロック周波数の増加だけでは性能向上を図れないようになってしまいました。
そこで、2つ以上のコアを搭載するマルチコアのCPUが登場しました。
これにより複数の処理を並列に行えるので、上記で述べた消費電力や発熱量の問題を回避しつつ、
性能向上を実現できるようになりました。
現在はデュアルコア(2コア)、クアッドコア(4コア)が当たり前ですね。
ハイエンドでは6コアや8コア、10コア、12コアのCPUもあります。
単純にコア数が多い方が速いと考えてもらって間違いがないと思います。
ただ使う目的によってはコア数が少ないほうがいい可能性があるので、それは次のパーツ選択で解説したいと思います。
さらに実行するソフトがマルチコアに対応していないとその実力は発揮できない可能性があります。
現状はほとんどのソフトがマルチコアに対応していると思いますが、一応注意が必要です。
次にスレッドのことですが、これは仮想的に存在するコアのことです。
特にスレッドが表示されていない場合はコア数とスレッド数が同じということだと思います。
一般的には1つのコアに2つのスレッドが搭載している場合が多いです。
1コア1スレッドは1人、1コア2スレッドは2人1組が作業していると私は考えています。
性能は2倍になるわけではないので、実際には違うと思いますが、大体こんな感じだと思います。
ブランド
先ほど紹介したようにCPUにはIntelとAMDがありますが、それぞれブランド名があります。
このブランド名でもCPUの性能がある程度わかるので、パーツを選ぶときに参考になります。
これから紹介するのは現在の市場である程度流通しているものです。
過去に登場したブランドの紹介は省かせていただきますので、ご了承ください。
また、新製品が登場して、新ブランドが登場した際には加筆・修正したいと思っています。
型番・モデルナンバー
ブランド名を紹介する上で、重要なのがモデルナンバーです。
これは製品名の後半に表示されている数字のことです。
同じブランドでもモデルナンバーが違うと登場した時期や性能が全然違ったりします。
Intelで言うとCore i7-4770KやCore i7-4960Xなどがそれぞれのシリーズの最上位モデルとして存在します。
同じシリーズの製品に思えますが、実は全然違います。
4770KはLGA 1150というソケットに対応しているCPUで、4960XはLGA 2011というソケットに対応しているCPUで、
同じマザーボードでは両者を交換したりできません。
AMDでも同じようにFX-8150とFX-8350と、ほぼ同じに思えるような数字ですが、発売時期やコアが違ったりしています。
※こちらに関しては同じマザーボードで両者を交換できたりします。
IntelとAMDで、結構こういったところに違いがあるんです。
私が思うに、こういうところが自作PCに手を出しにくい原因になっていると思います。
数字を見ただけでは違いが分からないというのは結構面倒くさいですよね。
ただ、そういった違いもおもしろいと思ってもらえるように解説していきたいと思います。
違いをわかるためにはコードネームというものを知ってもらう必要があるので、
コードネームに関する一覧表などを作成予定です。是非楽しみにしていただければ幸いです。
まずはIntelのブランドから紹介します。
Xeon
主にサーバーまたはワークステーション向けCPUのシリーズ名です。
最初私は”エクシオン”という読み方だと思ったのですが、正式な読み方はは”ジーオン”です。
6コアや8コア、10コア、さらには12コアのCPUもラインナップされています。
さらにCPUを装着する部分をソケットというのですが、2つのソケットを搭載しているデュアルソケットのマザーボードもあったりして、
2つのCPUを1つのシステムに搭載したりできるのがこのXeonです。
あまり一般的ではないと思いますので、詳細な説明は省きたいと思います。
ただ、今後CPUのブランド毎に解説をしたいと思っていますので、興味のある方はお待ちいただければ幸いです。
Core i
これが一般的に皆さんが知っているCPUのブランド名だと思います。
ラインナップにはハイエンドのCore i7、ミドルレンジのCore i5、ローエンドのCore i3があります。
単純に数字が大きい方が性能が高いと思っていただければいいと思いますが、
世代の違いやコードネームの違いがあったりして、単純に比較できません。
現在一般的に販売されているのはCore i7-4770KなどのCore i-4000シリーズと、
Core i7-3770KなどのCore i-3000シリーズだと思います。
4桁の最初の桁の数字の違いでまずは登場時期がわかります。
販売されているCPUの中で一番最初の桁の数字が大きいものが一番新しいと思ってください。
ちなみにCore i7-4770Kは「Haswell」というコードネームで開発された第4世代Core iプロセッサです。
Core i7-3770Kは「Ivy Bridge」というコードネームで開発された第3世代Core iプロセッサです。
これだけで説明できれば簡単なんですが、そうはいきません。
他にもCore i7-4960XやCore i7-3970Xというモデルがあるんです。
Core i7-4960Xは「Haswell」というものの最上位かと思われると思うんですが、実は違っていて、
「Ivy Bridge-E」というコードネームで開発されたLGA2011版第3世代 Core iプロセッサなのです。
同じようにCore i7-3970Xは「Sandy Bridge-E」というコードネームで開発されたLGA2011版第2世代 Core iプロセッサです。
では何が違うのかということですが、4桁の数字の2番目の桁の数字で違いがわかります。
2番目の数字が8or9の場合はハイエンド向けのモデルになっています。※ハイエンドデスクトップ(HEDT)向け
2番目の数字が7以下の場合はメインストリーム向けのモデルとなっています。
※パフォーマンス向けという言い方もあるかもしれません。
なので、Core i7-4770KとCore i7-3960Xを比較すると、数字の大きさだけで比較した場合、
Core i7-4770Kの方が大きい数字になっていますが、ハイエンドとメインストリームなので、
単純にCore i7-4770Kの方が高性能という訳ではありません。
※ただ世代が違うことで、性能が上がり、パフォーマンス的にはCore i7-4770Kの方が上回っている場面もありますが、
コア数はCore i7-3960Xは6コア/12スレッドとCore i7-4770Kの4コア/8スレッドと完全に多いです。
厳密には違うかもしれませんが、こういう考えで良いと思います。
ではローエンドは何というと、後述する「Pentium」や「Celeron」の事を指していると考えています。
※ローエンドに関してはバリュー(低価格)向けとも言われるかもしれません。
あとはCore iの次にある数字で、コア数とスレッド数が推測できたりします。
大体は、i7の場合は4コア/8スレッド、i5の場合は4コア/4スレッド、i3の場合は2コア/4スレッドという感じです。
これで大体の説明はできたと思いますが、次に気になるものは末尾に付いている「X」や「K」の事だと思います。
実はこれだけでなく、「S」や「T」などもあります。
これも知らない人にとっては「何のことだ?」と混乱してしまう原因だと思います。
X
Xとは「Extreme Edition」を省略したもので、正式には「Core i7-4960X Extreme Edition」というようになります。
「Extreme Edition」とはフラグシップモデルに付けられるもので、その世代に大体1モデルしかありません。
また「Extreme Edition」が付けられるのはハイエンド向けのモデルのみです。
なので「Extreme Edition」が付いているCPUはメインストリームではないというのがわかります。
後述する「K」と同様にCPUクロックの倍率固定が解除されています。
※倍率ロックフリーとも言います。
これも意味不明だと思います。
倍率ロックフリーに関しては下の「K」の項目で説明したいと思います。
K
後ろに「K」が付くモデルは”倍率ロックフリー”のモデルです。
倍率ロックフリーの説明をするには、CPUのクロック周波数がどういうものか説明しないといけないと思います。
クロック周波数というのは「ベースクロック×倍率」というもので成り立っています。
4770Kの場合は「100MHz×35」で3.5GHz(3500MHz)となっています。
「X」や「K」が末尾に付く倍率ロックフリーのモデルは後ろの倍率というのを変更できるというものです。
それ以外のモデルではこの倍率を変更できません。
では、なぜ変更するのか?という疑問が出てくると思います。
自作PCを知らない人にはあまり知られていないかもしれませんが、「オーバークロック」というものがあります。
4770Kを例に出すと、通常は3.5GHzのクロックを、さらに高い数値にすることによって、
より高速にして、従来よりも高性能にすることです。
※ただオーバークロックというのにはリスクがあり、保証が受けられなくなったりするので、注意が必要です。
オーバークロックに関する解説もしたいと思いますので、少々お待ちいただければと思います。
オーバークロックする場合はベースクロックをさらに高い数値にするか倍率を変更するか、両方を同時にやるかという方法がありますが、
ベースクロックを変更すると、ベースと言うだけあって、他のパーツのクロックも変更されてしまい、
ちょっとややこしいことになったりするんです。
ただCPUの倍率を変更する場合は、CPUにしか影響がないので、他のパーツを気にしなくて良くなるんです。
なので、オーバークロックをする方には倍率ロックフリーというのがすごく重要です。
そのためにオーバークロックを愛するOCer(オーバークロッカー)のために、こういうモデルが販売されています。
正直言いますと、上の説明では言葉足らずなことがいくつかあります。
まず現在は「ターボブースト」というものがあり、ある条件下では勝手にオーバークロックしてくれたり、
CPUには省電力機能があって、使っていないときにはクロックが勝手に下がってくれたりするんです。
そういったことも、それぞれ紹介していきますので、少しお待ちください。
S
低電圧版ということです。
簡単に性能を下げた分、消費電力や発熱を抑えたモデルです。
意味が分からないという方が多いと思うのですが、これについては目的がある人が選ぶものです。
パソコンというのには冷却というのが必須です。
みなさんのパソコンにも小さい扇風機のようなもの=冷却ファンがついていると思いますが、
これはCPUの近くにも付いていることがほとんどです。
発熱が大きくなると、必然的に大きな冷却装置が必要になってきます。
なので、そういったパソコンを作った場合には大きいパソコンになってしまいます。
そこでこの”S”付きのモデルの出番です。
性能は通常モデルに比べて落ちていますが、発熱が下がっているので、比較的小さい冷却装置で済みます。
なので、小さいパソコンを作りたい時や、静かなパソコンを作りたい時などにこのモデルを買う人がいます。
T
これは上の”S”よりもさらに低電圧なモデルです。超低電圧と言ったりもします。
もっと発熱量が少ないパソコンや消費電力が少ないパソコンを作りたい人がこのモデルを買います。
P
あまり目にすることがないものですが、内臓グラフィック機能が省略されたモデルです。
「内臓グラフィック機能」とはなんだ?と思われる方が居られると思います。
今販売されているCPUは大体この「内臓グラフィック機能」というものを搭載しています。
ただハイエンド向けには搭載されていませんので、ご注意ください。
「内蔵グラフィック機能」というのも色々ややこしいです。
昔と今では示している意味が違ったりしています。
簡単に言うと、「内蔵グラフィック機能」を持ったCPUと画面出力機能を持ったマザーボードを組み合わせると、
別途グラフィックスカードを購入しなくても済むという事です。
「内蔵グラフィック機能」に関しても、別で解説したいと思います。
Pentium
ブランド名の説明に戻ります。
「Pentium」というのも昔と今では結構違うことを意味しています。
ただ現在自作するうえで、あまり昔の「Pentium」の意味を知る必要がないと思います。
簡単に言うと、現在の”Core i”というものの代わりに使われていた、Intelのメインストリームのブランド名でした。
現状では、Core iの下位に位置する廉価版CPUのことです。
Celeron
こちらも同じく廉価版のCPUです。
Pentiumよりも性能は劣っています。
ただ、CPUの性能自体が向上しているので、このCeleronでも通常の作業をする上で十分な性能があるので、
安価なパソコン用に最適という事です。
Atom
小型機向けにCPUです。
タブレットやスマートフォン、すごく小さいパソコンに搭載されていたりします。
こちらに関しては自作PCにあまり関係ないかもしれません。
なぜなら今はAtomを利用しなくても、同じような小さいパソコンを作ったりできるからです。
機会があれば、解説したいと思います。
次はAMDのブランドです。
Opteron
IntelのXeonと同じく、主にサーバーまたはワークステーション向けCPUのシリーズ名です。
こちらもあまり一般の人が触ることはないと思います。
FX series
これはAMDのハイエンドデスクトップ(HEDT)向けのCPUです。
8コアを搭載したモデルが世界で初めて一般向けで発売されたCPUもこのシリーズです。
ただ性能の方は、Intelのメインストリームにも負けてしまう性能で、あまり脚光を浴びていません。
ちなみにFX seriesのラインナップすべてが倍率ロックフリーになっています。
A series
これはAMDのメインストリーム向けのAPUです。ローエンドも兼ねていると思います。
APUとはの機能を一つのチップに集積した統合プロセッサです。
Intelとの違いは内臓グラフィック機能がこちらの方が高いということです。
※ただIntelの内臓グラフィック機能も進化していて、今後はわかりません。
Intelに比べて、CPUの価格が安価な事が特徴だと思います。
Intelと同じく、末尾にKが付いているモデルがあり、それが倍率ロックフリーのモデルです。
私自身、AMDであまり自作したことがないので、AMDのCPUに関しての解説が少ないし、足りないと思います。
AMDで自作している人やAMDをこよなく愛する人には本当に申し訳ないです。
ただ、今後AMDでも自作したり、知識を蓄えて、加筆・修正していく所存ですので、ご了承ください。
総括
まずは、この長い文章を読んでいただき、本当にありがとうございます。
ただ単に、自作PCを作るだけなら、今回の事をすべて知らなくても全然大丈夫です!!
最初は参考程度に軽く読んで頂き、さらに詳しく自作PCの事を調べてみようと思った時に、改めて読んでいただけたらと思っています。
今回の投稿を見ていただければ分かる通り、一言に「CPU」と言っても、いろんな種類があることが分かってもらえたと思います。
なぜこんなにも種類があるのかというと、やっぱりパソコンの中で最重要に位置しているパーツだという事です。
パソコンの性能を決定付けるパーツなので、自作PCを作ろうと思っておられる方は是非今回の投稿を参考にして欲しいです。
最初はライトな感じの解説をしようかと思ったのですが、作成しているうちに、
あれも紹介したい、これも紹介したいといった感じで増大していきました。
正直これでも全然説明が足りていないと思いますし、少し間違った表現を使っている部分もあると思います。
全てを解説しようとすると、本当に長くなってしまうので、詳細はまた個別のページで紹介したいと思っています。
個別の解説ページを作ったら、このページから気軽に見れたり、加筆・修正したいと思っています。